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10/07/2014

No.0201 抗体医薬品 -アミノ酸分析、ペプチドマッピング-

抗メチル化DNA(5-methyl-2’-deoxycytidine)モノクローナル抗体(以下、抗メチル化DNA抗体と呼ぶ)のタンパク質部分のアミノ酸分析及びペプチドマッピングの例を紹介する。

N末端アミノ酸配列解析

還元アルキル化し、最適な移動相でH鎖とL鎖を分離した。それぞれについて、ロングリード型プロテインシーケンサーにより、N末端から最大50残基程度のアミノ酸配列解析を実施した。抗メチル化DNA抗体L鎖については、そのままでは配列解析ができなかったため、ピログルタミル消化後、再度配列解析を行ったところ、50残基まで配列を決定できた。

C末端アミノ酸配列解析


Mass spectra of digested peptides

16O Isotope pattern

16O Isotope pattern

Isotope pattern of internal Peptide Labeled using 50% 18O

Isotope pattern of internal Peptide Labeled using 50% 18O

重酸素水(H218O)中でタンパク質を酵素消化すると、C末端ペプチド以外のペプチドに18Oが入り、C末端ペプチドには18Oが入らない。 H218O中で消化したものと、 H216O中で消化したものを用意し、LC/MS分析を行って、それぞれのマススペクトル上の同位体パターンを比較することにより、C末端を含むペプチドが迅速に見出された。抗メチル化DNA抗体では、一部の分子でC末端のアミノ酸1残基が欠損しており、結果2種類のC末端を確認した。


ペプチドマッピング

ペプチドマッピング


最適な酵素・消化条件で前処理を行い、高分解能LC/MS/MS(質量精度 5ppm〔内標〕)とMALDI-TOF/MSを併用して、高いシーケンスカバー率を実現した(抗メチル化DNA抗体L鎖のカバー率は100%)。なお、一部ピークについては分取しプロテインシーケンサーでペプチドのC末端残基まで配列決定を行った。 抗メチル化DNA (5-methyl-2’-deoxycytidine)モノクローナル抗体は、(財)日本宇宙フォーラム「宇宙環境利用に関する地上公募研究」において作製したものである。

分析機能と原理


カテゴリー

ライフサイエンス , 医薬

分類

バイオ医薬品