01/24/2022
No.0575 TPD-MS、XPSによるカーボン材料中の官能基分析
カーボン材料の表面官能基は、ガスや液体の吸着、異種材料との接着特性に大きな影響を与えます。
その官能基の種類や量に関して、TPD-MSではバルク、XPSでは最表面(~10 nm)の情報を取得できます。当社では豊富な経験・実績に基づき、複数の手法を組み合わせて詳細に解析します!
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【 測定試料 】
活性炭の空気酸化品 ※処理時間:2時間
①未処理品 ②200℃処理品 ③300℃処理品 |
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TPD-MS(昇温脱離-質量分析法) | |
【 測定条件 】
室温 → 1000℃、10℃/min、He雰囲気 |
発生速度曲線
| 官能基の熱分解 Ref.)
Ref.) H. Takagi, TANSO 2009, No.237, 67-71.
発生温度より各種官能基の存在が示唆され、また発生量から官能基量の多少関係も推察できる。 |
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XPS(X線光電子分光法)
XPSでは表面の元素組成の定量と官能基や価数といった化学状態の情報が得られる。
炭素の化学状態について右図に解析例を示す。
| C1s ピークフィッティング
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TPD-MSおよびXPSからの官能基情報
| TPD-MS | XPS | 推定
官能基量 |
発生量(wt%) | O2
含有量
(wt%) | C1sピークの割合(atomic%) | O1s/C1s |
H2O | CO | CO2 | C-O | C=O | O-C=O |
カルボキシ基 | 酸無水物
エーテル
カルボニル基 | カルボキシ基
ラクトン
酸無水物 | ヒドロキシ基
エーテル | カルボニル基
(アルデヒド、
ケトン) | カルボキシ基
エステル |
未処理品 | 0.14 | 2.2 | 0.47 | 4.8 | 1.8 | 1.6 | 0.7 | 0.035 | 小
▲
大 |
200℃処理品 | 0.26 | 2.6 | 0.65 | 6.4 | 3.1 | 1.8 | 1.2 | 0.039 |
300℃処理品 | 0.25 | 3.4 | 0.78 | 7.8 | 3.7 | 1.7 | 1.1 | 0.043 |
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⇒ 熱処理温度の上昇に伴い活性炭中の官能基量が増加していることが確認された
⇒ 両手法を組み合わせることで詳細な解析が可能となる |
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カテゴリー
自動車, 電池, 材料・素材
分類
リチウムイオン電池, 金属・無機材料, 複合材料, ナノ材料