11/02/2021
No.0522 酸化物結晶中における不純物原子位置の計算科学による予測とXAFSを用いた実証
YAG:Ce蛍光体におけるCeの置換サイトについて、第一原理計算に基づく構造最適化及び形成エネルギー評価による予測と、FT-EXAFS解析を用いた実証により、Yサイト置換であることを明らかにした。本手法により、様々な結晶中の不純物原子の置換サイトを、高い信頼性をもって同定することが出来る。
第一原理計算に基づく構造最適化
系の全エネルギー
E
が極小となるように構造を緩和
第一原理計算
量子力学の波動方程式を、経験パラメータや近似を出来る限り用いずに解くことにより、物質の様々な性質を正確に予測する計算手法
構造最適化から得られる情報
・ 安定な原子配置、結合距離、格子定数等
・ 系の全エネルギー、欠陥の形成エネルギー等
YAG:Ce蛍光体中のCe置換サイトの同定
YAG:Ce蛍光体の構造最適化
・ YAG:Ce蛍光体: YAG (Yttrium Aluminum Garnet: Y
3
Al
5
O
12
)に
Ceを添加した酸化物蛍光体
・ 高輝度白色LED開発のターゲット材料
・ Ce置換によって生じる構造緩和の影響を考察
構造最適化後のCe近傍の構造
Yサイト置換は緩和が小さく、Ce周辺構造への影響は小さい。
一方で、Alサイト置換では大きな緩和が生じ、Ce周辺の構造が大きく歪むため、構造的に不安定。
各サイトへのCe置換の形成エネルギー評価
FT-EXAFS解析(Ce
K
端XAFS)による実証
・ 形成エネルギー: 不純物を含む結晶と完全結晶の構造最適化後の
全エネルギー差に基づいて見積もられる量。
・ YAGの各サイト毎のCe置換のしやすさを定量的に評価でき、形成
エネルギーが低い程、置換が生じ易い。
形成エネルギーの低い
Yサイト置換が容易
であり、形成エネルギーの高いAlサイト置換は困難
・ 計算で予測されたYサイト置換の容易性を実証するため、
FT-EXAFSの実験スペクトルとの整合性を考察
破線部分のスペクトル形状、ピーク位置、強度比について、
Yサイト置換が実験スペクトルと一致
当社では、実験と計算の両面から、より詳細な解析結果を提供します。
カテゴリー
IT機器, 材料・素材, 半導体・実装
分類
電子・機能性材料
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