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03/04/2021

No.0465 高速カロリメーターを用いたナノグラムの熱重量測定法 (nano-TG)

従来の熱重量測定(TG)は適用できる昇温速度が小さいため、昇温中に熱分解が進行してしまい、短時間で進行する熱分解挙動を調べることができなかった。高速カロリメトリー(FSC)を用いることにより、ナノグラムの試料に対して高温保持中の熱重量測定を行う新規手法(nano-TG)を確立した。高温におけるナノグラムのポリプロピレンの熱酸化分解挙動を調べた事例を紹介する。

高速カロリメトリ―(FSC)の概要FSC測定手順
試料:ポリプロピレン(PP)
試料量:20 ng
微小熱センサによりngオーダーの試料を熱分解速度よりも高速で昇降温させると、熱反応の進行を完全に抑制することができる [1-2]

  [1]Y.Furushima, Thermochim. Acta 677(2019)79-84.
  [2]Y.Furushima, R.Ota, T.Ohkawa, Thermochim.
    Acta 694(2020)178804.
等温保持中のみ熱分解が進行し、その間に試料重量が減少する。昇温→等温→降温の測定を繰り返すと、減量に伴い、FSC曲線(熱流)の値も低下する。この現象を利用し、ナノグラム試料のTG曲線を取得することが可能。【特許出願中】

300℃における保持時間とFSC曲線(冷却過程)300℃等温中の熱重量曲線 (nano-TG曲線)
300℃での累計保持時間が長いほど熱酸化分解が進行し、重量減少によりDSC曲線(熱流)がベースライン(ゼロ)に戻る      規格化した熱流の時間変化はTG曲線に相当
      300℃保持中のPPの重量変化を取得可能
      (汎用TGでは300℃Air中のPPのTG曲線は取得不可)

関連する技術資料

No.0249 高速昇温・急冷時の高分子の融解・結晶化挙動
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/1D9756ECDA6A645149257E62001EA3E9?open



カテゴリー

自動車, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装, ライフサイエンス

分類

高分子材料, 電子・機能性材料