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07/22/2020

No.0421 ネオジム磁石の構成元素分析

高性能な永久磁石であるネオジム磁石について、市販品を用いて元素分析を行った事例を紹介する。蛍光X線分析法とICP発光分光分析法を併用することで信頼性の高い組成分析が可能である。耐熱性向上のために添加するTbやDyはICP質量分析法により微量まで評価可能である。

ICP発光分光分析法による組成分析

蛍光X線分析(WDX)
磁石を構成する元素および検出元素の合計を100%としたときの濃度比(半定量値)について情報が得られる。
    Nd, Fe, B, Dyの他にAl, Co, Nb, Pr, Gd, Ho等を検出
WDXにより得られた元素情報を基に試料の化学的溶解法を決定
Table 1 「試料C」のICPによる定量分析結果およびWDX分析値との比較
         ・適切な前処理により、繰り返し再現性の良好な分析が可能となる。
         ・ICPによる元素分析から、耐熱性とDy含有量の相関が確認できる。
Table 2 ICPによる定量分析結果

          各定量値の合計がほぼ100となり、信頼性の高い結果が得られている。

ICP質量分析法(ICP-MS/MS)によるTb, Dyの高感度測定

四重極型ICP-MSではNd由来のスペクトル干渉によりTb, Dyの評価が困難だが、分解能の高いICP-SFMSやタンデム型質量分析計を搭載したICP-MS/MSであればこの干渉を回避できる。特にICP-MS/MSはNd磁石中のTb, Dyを高感度に測定することが可能である。

       
       Figure TbおよびDyの検量線
     Table 3 ICP-MS/MSによる市販Nd磁石中のTb, Dy分析結果

 
 ICP-MS/MSは、ICP-SFMSより高感度測定が可能  ICP-MS/MSの高感度測定により、耐熱性向上のためにNd磁石に添加する
  TbやDyをppmレベルまで評価できる。

カテゴリー

自動車, 材料・素材

分類

金属・無機材料, 複合材料