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06/02/2016

No.0303 UV照射ESR測定によるSiN薄膜中の欠陥の定量評価

SiN膜は半導体分野において、保護膜やメモリの電荷蓄積層など、幅広く使用されている絶縁膜である。SiN膜中の欠陥はチャージトラップとなるため、電気特性に影響を与える。ESR分析では、SiN膜にUV照射する事で膜中の欠陥量(=ダングリングボンド量)を定量的に評価する事が可能である。

SiN膜中の欠陥量の評価方法

 

 

図1 SiN膜(100nm)のESRスペクトル

図1 SiN膜(100nm)のESRスペクトル

ESR不活性な欠陥を、ESR活性な欠陥に変換(=活性化)して測定
 

UV照射時間依存性
 
 図2は、ダングリングボンド量のUV照射時間依存性である。図2より、照射20分までは活性化によりダングリングボンドが増加するが、照射20分以降では若干減少する。この減少はダングリングボンドが膜中のHなどと反応するためと考えられる(文献1)。

⇒ 評価には、適切なUV照射時間(や照度)を考慮する必要がある。

【文献1】W.L. Warren, C.H. Seager, J. Appl. Phys. 77(1995)5730-5735.

図2 ダングリングボンド量 vs. UV照射時間

図2 ダングリングボンド量 vs. UV照射時間

SiN, SiON膜のUV照射ESR測定結果

 

 

 

 

 表1. 膜中のダングリングボンドの定量結果
サンプル名
成膜方法
膜中のダングリングボンド量
(個/cm3)
P-SiN(20nm)
プラズマCVD
6.5E+18
LP-SiN(20nm)
低圧プラズマCVD
6.1E+18
P-SiON(50nm)
プラズマCVD
2.3E+19
P-SiON(50nm)
アニール
プラズマCVD,
アニール品
1.3E+19
 
10nm程度の薄膜でも評価可能

分析機能と原理


カテゴリー

半導体・実装

分類

電子・機能性材料