09/26/2014
No.0078 太陽電池モジュール封止部材の劣化解析
-遊離酢酸の定量-
太陽光発電モジュールの封止材に用いられるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)はその構造上、側鎖が脱離し、遊離した酢酸が存在する場合があります。遊離酢酸は電極材料などを腐食する可能性があり、劣化や故障の原因になりえます。ここでは、遊離酢酸の定量分析の事例をご紹介します。
太陽電池モジュールの光劣化解析例
(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の初期劣化)
太陽電池モジュールへの耐光性試験(700時間)を実施した後、モジュールから封止材(EVA)を取り出し、赤外分光分析(IR)とイオンクロマトグラフ(IC)の分析を行い、試験前の状態と比較しました。
耐光照射前後の封止材(EVA)のFT-IR-ATRスペクトル
FT-IR-ATRスペクトルより、耐光性試験の結果、EVAの初期の光劣化による側鎖のアセテート基(C=O)の減少がわずかに認められています。
耐光照射前後の封止材(EVA)の水抽出物のイオンクロマトグラフ分析
イオンクロマトグラフでは、耐光性試験前後で遊離酢酸が検出されました。耐光性試験後では、遊離酢酸イオンの量が増加しており、IRで認められた側鎖の減少とよい相関が見られます。
分析機能と原理
カテゴリー
電池
分類
太陽電池封止材