10/03/2014
No.0161 加湿条件下でのポリマーの加熱発生ガス分析
ポリマーから発生する酸性ガスは製品の腐食や異物生成の原因となるため、重要な評価項目になっている。 発生ガス分析は低湿度環境で実施されることが多いが、実際の使用環境と異なる場合もある。
今回、試料として衝撃吸収材(天然ゴム)をとりあげ、異なる湿度環境で発生する酸性ガスをイオンクロマトグラフィー(IC)、およびIC-MSにより測定した結果を紹介する。
試験方法
図1 発生ガス試験装置の模式図
【実験条件】 |
| 試料 | : | 衝撃吸収材(天然ゴム) |
| 試験温度 | : | 90℃ |
| 試験時間 | : | 4hr |
| ガス流速 | : | 80mL/min |
| ガス捕集 | : | KOH水溶液 |
| 加湿条件 | : | ① | 加湿なし(湿度0%RH) |
| | | ② | 超純水加湿(湿度100%RH) |
| | | ③ | 3%過酸化水素水加湿(湿度100%RH) |
【評価項目】 |
| 捕集液中の陰イオンをIC, IC-MSで定性・定量分析 |
分析結果
表1 分析結果
加湿条件 | 分析値 (μg/個) |
酢酸 | ギ酸 | 安息香酸 |
① | 2.8 | 0.4 | 0.3 |
② | 7.7 | 1.1 | 0.6 |
③ | 20 | 30 | <0.2 |
・ | 高湿度環境では、有機酸発生量がやや増加する傾向が見られた。 |
・ | 過酸化水素雰囲気では、酢酸、ギ酸発生量が増加した。また、微量成分に違いが見られた。これらは、試料の酸化分解によるものと考えられる。 |
・ | IC-MS測定によりピークの分子量情報が得られ、選択性 が飛躍的に向上する。 |
***IC-MS/MS測定も可能 |
分析機能と原理
カテゴリー
材料・素材
分類
加熱発生ガス