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09/29/2021

No.0493 全固体電池正極合材の界面状態分析

XAFSでは、正極活物質の表面コート層や、活物質/固体電解質界面について、化学状態の平均的な情報が得られるため、加圧成型後の確認や劣化評価に有用である。独自サンプリング法の開発により、nmオーダーのコート層とその活物質界面の分析が可能となったことから測定例を紹介する。

コート層界面の状態分析

  薄いコート層 ⇒ 加圧成型時の状態に懸念
  XAFSによるコート層/活物質界面付近の状態分析 ⇒ 試料の平均的な傾向がつかめる
  極微量のNb検出+高活性の固体電解質のXAFS測定 ⇒ 独自サンプリング法開発により、高活性試料中の微量Nb層のXAFS評価可能

試料詳細

 固体電解質の異なる正極合剤ペレット2種: AB
 
硬さ:  Li3PS4 > Li6PS5I
平均粒径:Li3PS4 > Li6PS5I

本分析における着目箇所

 正極合剤   
  適切な測定法の選択により、これらの状態評価が可能

Nb K 端 XANES、FT-EXAFS

    Nb K端XANES                     Nb K端FT-EXAFS
    ① A、Bには第2近接ピークなし ⇒ 低結晶性、アモルファス化を示唆    
    ② 最近接Nb-Oのピーク強度:AB AはLiNbO3構造の歪みが大きい可能性

Co L3 端 XANES

    ① Aにはコート層界面にCo2+が存在 ⇒ 硫化物(CoS)、酸化物(CoOなど)の形成を示唆

まとめ ~固体電解質の違いよる界面状態の傾向~

 Nb: LiNbO3構造の歪み ⇒ コート層の割れ
A > B
Co: 活物質の変質 ⇒ コート層の割れによる劣化
A > B
硬く、粒径の大きいLi3PS4を含むAでは、プレス時の局所圧力が大きく、コート層が損傷したと推察。
試料提供: 産総研関西センター 田渕先生、小島先生

カテゴリー

自動車, 電池

分類

リチウムイオン電池