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11/14/2016

No.0314 封止材の絶縁特性と水蒸気拡散・溶解度評価

デバイスの性能や長期信頼性を左右する封止材の絶縁特性に対して、水分は大きな影響を及ぼす。封止材の水蒸気の拡散・溶解状況を把握し、材料の構造と対応付けることは、絶縁特性の制御に有用である。

EVAの体積抵抗率に対する酢酸ビニルの影響 

FT-IRによる酢酸ビニル含有量の定量
・ νC=OとδCH2の吸光度比から酢酸ビニル含有量が求まる。
・ EVAの化学構造解析にはFT-IR(官能基分析)、固体NMR(分子運動性 解析)、添加剤分析には発生ガス分析、等が有効である。
  体積抵抗率の酢酸ビニル含有量依存性
絶縁特性の一要素である体積抵抗率は、酢酸ビニルが少ないほど高い傾向がある。酢酸ビニルが絶縁特性に影響する可能性を示唆する。

EVAの体積抵抗率と水蒸気拡散・溶解度との相関

透過率(単位時間に単位面積の試験片を通過する水蒸気量)と溶解度(試料片に溶解する水蒸気量)を別手法で実測し、拡散係数を算出した。本スキームは、水蒸気を負荷してから定常状態に到達するまでの時間が短い試料(例:薄いフィルム、拡散係数の大きい材料)に適している。

透過率(差圧式定常法)
溶解度(水蒸気吸着測定)
拡散係数(=透過率/溶解度)
・ 酢酸ビニル含有量の異なるEVAについて、水蒸気の透過率、拡散係数、溶解度が高くなると、体積抵抗率が低くなる傾向が認められた。特に水蒸気溶解度と高い相関が得られた。
・ 母材や添加剤、架橋、劣化状態によって相関するパラメータが異なることもあるが、絶縁特性と相関する水蒸気透過性や 化学構造を詳細に調べることは、高性能な封止材開発の指針を得るために役立つ。


分析機能と原理


カテゴリー

電池

分類

太陽電池封止材