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09/09/2021

No.0478 重水加湿処理とSIMSを用いた水の拡散係数評価

封止材など有機・無機膜中の水の拡散係数を数値化する手法として、重水加湿処理とDynamic SIMS(二次イオン質量分析)を用いた方法を紹介する。水の代替溶媒として重水(D2O)を用いることで材料中に元来含まれる水分の影響を回避することができる。またSIMSは元素の深さ方向プロファイルを高感度に得られる手法である。そのため、本手法は従来手法と比べ高感度・高スループットな拡散係数の評価手法であると言える。

SiO2等の無機膜における拡散係数評価

【概要】
 ①恒温槽で重水処理  ②SIMS測定  ③拡散係数Dの推定
 
 SiO2膜1000 nmの重水素プロファイル(120℃、14 h)
表1: 試料サイズと対応可能な処理

※ 温度範囲: 室温~120℃(密閉系、浸漬)、 室温~200℃(流通系)
※ 気圧・湿度はコントロール不可
表2: 処理時間の異なる試料のフィッティング結果

 処理時間によらず、ほぼ一定のD値を得ることができる。

重水と軽水の拡散係数の比較 (120℃、19 h)

重水(D2O)と軽水(H2O)の拡散挙動の違いを調べるため、重水と軽水のそれぞれを溶媒として同一条件にて加湿処理を行った。

SIMS深さ方向プロファイル(左図)より、重水処理を施した試料の重水素、軽水処理を施した試料の水素はどちらもSiO2膜中への浸入が認められる。

フィッティングの結果、SiO2膜中では重水素の拡散係数は水素のそれとほぼ同等であることが示唆される。

カテゴリー

自動車, 電池, IT機器, 材料・素材, 半導体・実装

分類

太陽電池, 太陽電池封止材, 金属・無機材料, 電子・機能性材料, 実装・パッケージング