12/11/2014
No.0228 γ線滅菌によるポリマのトラブル解析
医療用具、医療機器の分野では、γ線による滅菌が幅広く用いられています。一方で、放射線を照射することにより、ポリマに様々なトラブルが発生する場合があります。東レリサーチセンターでは、γ線照射によるポリマのトラブル解析を、照射処理からワンストップで行うことができます。
臭気
臭気ガスの捕集方法 γ線照射によりポリマーから発生する臭気は、
ガスを捕集してGC/MSやICなどで分析すると
成分を同定することができます。
発生する臭気成分には、ポリマーの構造変化に
関係する情報が含まれています。
| 変色
UV/Vis吸収スペクトル例 γ線照射によるポリマーの変色は、
UV/Vis測定による吸収スペクトルで
評価することができます。
アクリルは時間とともに回復傾向ですが、
塩ビは吸収が増加する傾向にあり、ポリマーの
構造変化が生じている可能性が示唆されます。
|
構造変化 γ線照射により、ポリマーの構造が変化して
強度低下などの原因となることがあります。
またγ線照射をポリマーの改質加工に使う場合も
あります。このようなポリマーの構造変化は、
赤外分光法、ルミネッセンス測定、NMR、
加熱発生ガス分析などの様々な測定により
解析することができます。
| ラジカル
ラジカル量の経時変化 γ線照射によりポリマー中に生じるラジカル
(不対電子)は、ESRで評価することができます。
上記ポリマーではいずれも、ラジカルが
経時減衰することが確認されました。 |